オレゴン州:ポートランドとPCT

 

今回は旅の話。

 

今泊まっているところの方に、シアトルのあるワシントン州を下って、ポートランドのあるオレゴン州に連れて行ってもらった。

オレゴン州といえば?

って訊かれてパッと答えられる人はどのくらいいるんだろう。

ポートランドは、人口65万人くらい。オレゴン州で一番大きな規模の都市だ。

兵庫県神戸市と姉妹都市であったり、全米1住みたい都市に選ばれているとか、日本でも高級スーパーでポートランド産の美味しいグラノーラが売っていたりとかで、何かとポートランドはおしゃれなイメージがあった。でも、行ってみるとイメージと現実は色々な意味で食い違っていた。そんなことを今回も書いてみたい。

 

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これはポートランドから少し車で行った郊外。

画面の中央やや左に映るのは、オレゴンの象徴、コロンビア川だ。

 

一番最初に訪れたのはワシントンパーク

ワシントンパークとは、日本庭園、動物園、博物館、自然公園とか一体になった場所の総称で、とにかく運動をするにも(サイクリングの人やランニングの人を沢山見かけた)、子どもと出かけるにしても(子ども博物館がある)、デートするにしても(パノラマが綺麗)、最適な場所なのだ。ポートランドはバラの街、ここはその中心のような場所だった。ここはバラが植わっているだけでなく公園という意味で優れていて、イメージよりもずっと良いところだと思った。

 

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600種類以上のバラがここに植わっている。

行くなら初夏が良い。

ここで、自転車に乗り換えた。

そこで案内してくれた人にポートランドの詳しい話を見聞きしたので書いておきたい。

ポートランドはもともと、郊外の大手モールに都心の自営業が負けていたり、民営バスがちゃんと機能していなかったり、都心内の地域間・人種間での格差が露骨になっていたりと、様々な問題を抱えた都市だった。

そこで1970年代に改革が起きた。

都市の中心部から離れて郊外に住み、通勤するというスタイルをから、中心部を住み良い場所にして、仕事もそれ以外の生活もここで全部できるようにすれば良い。そんな改革が起こったのが、ニール・ゴールドシュミット市長が就任してチームが発足した1973年から。

なんとその時、市長は33歳。政権は全員20代か30代前半だったんだそうだ。

そこから、1990年代にかけて地域活性化・公共機関の整備・ダウンタウン改革に力を入れてまちづくりが行われた。="population strategy"というらしい。

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サイクリング中の風景。

ライトレールを左手に自転車道を走った。橋の下では水上スキーをしてる。

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トラム乗り場。

トラムで登った丘の上には、医科大学・病院があるんだって。

写真でもわかる通り、今となってはポートランドでは車がなくても何処へでも移動ができてしまう。

川の洗浄プロジェクトを行って環境を整えたその場所で水浴びをする若者を見かけたり、古い建築物を残した地区がお洒落な若者の街になっていたり、30年かけて行われた改革の効果はこう考えてみると絶大だなと実感した。都市にはその歴史の分だけ人々の苦労があるんだということを知って、いい意味でポートランドのイメージが変わった。

 

でも、残念だったのは、コロナの影響で「いつものポートランド」は見られなかったこと。

本当は、アルバータの生協を訪れたり、公園でパレードを見たり、コンサートに行ったりポートランドの特有の活気を味わいたかったけど、今回は人がちらほらいるくらいでやはり元気がない。残念だった。

 

蛇足:友達がPortlandiaというスケッチコメディーを紹介してくれた。そのオープニングがこれ。

 

www.youtube.com

観てわかる通り、ポートランド民の徹底したオーガニック志向や「変でいることがかっこいい」文化をスキットにして笑いにしたシリーズ。(Netflixで配信中)

(ちなみにポートランド民はこれを怒らないで観て、逆に「これあるあるだよね」とゲラゲラ笑う。)

 

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自転車で爆走する人

さて、話は戻ってポートランドの街の話。

今回は活気には欠けていたけれど、他にポートランドらしい感じが伝わる写真がないか探していて、唯一伝わりそうだと思ったのが、この上の写真。

何が入っているのかわからないが私物を籠にたくさん積んで紐でくくりつけ、短パンTシャツで車道を走っていくお兄さん。他にも半裸でスケボーとか、スクーターの人もよく見かけた。街全体が小さくまとまっているから、思い思いのクルマ で移動するのが心地よい。それがポートランドのスタイルなんだ。

 

ここまででなんとなくポートランドのことを理解してもらえたと思う。

なので、ポートランドの他の一面(ダークサイド)を見たことも書いておきたい。

 

昼休みにしようと屋台でファラフェルのトラックに並んでいたら、ホームレスらしき40代くらいのおばさんが声をかけてきた。

「もう何日も食べてないんです、ご飯を分けてくれませんか?」

日本でこういう経験をしたことがないんだけど、アメリカで生活したり、旅行したりしているうちに最近は慣れてきた。

こういう時、私は半分怖くて、半分良心で、分けます。

ほぼ現金は持ち歩かないし、お金をあげても良いことがないことの方が多いから、

「お金をください」って言われたら断ることにしている。

でもご飯だったら、と思って分けている。

ということでファラフェルラップ、分けた。友達には、やめときなって言われたんだけど。

シアトル、ポートランドと新たにアメリカの都市を見てみて、ホームレス事情の深刻さは明らかだ。街中のいたるところにテントが立ち、そこで生活する人たちの衛生環境はひどい。橋の下の汚臭を放つテントや、観光客に昼ごはんと水を貰わないと生きていけないホームレスの人々を見ると、「全米一住みやすい街」でもこれが現実か、と思ってしまうのは仕方がない。

都市のホームレスについては、違う記事で書きたいと思っている。

 

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PCT

Bridge of the Godsの近くの入り口

 

最後に、ポートランドではないけれど、オレゴン州にもあるPCT (Pacific Crest Trail)-メキシコからカナダまで続く太平洋沿岸の山道-をほんの少しだけど紹介しておきたい。この山道近くにBridge of the Gods という、オレゴン州とワシントン州を分ける大きな橋がある。そこから見るコロンビア川は絶景。

PCTに関してはWildという映画 -薬物中毒・母親の死・離婚などを乗り越えるべくがむしゃらにPCTの長時間歩行に挑戦する女性の話- もあるので良かったらどうぞ。

www.youtube.com

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

感想があれば、コメントしていただけると嬉しいです!!!

ではまた!

 

参考

 

pdxscholar.library.pdx.edu